ソレデモワタシハアナタヲアイス
ビックリした顔で美咲がこっちを向く。
「おまえこの状況で何やってんだよ!皆、出てんだぞ!何、自分だけ知らん顔して座ってんだよ!」
あまりにも力を入れ過ぎて叫んだせいで、俺は体育館中の視線を集めてしまった。
コートでは真由子が慌てて審判にタイムを要求している。
「ただちょっと出るだけだろ!何そんなに意地張ってんだよ!」
美咲は相手が俺だと分かるといつものように目をそらしてシカトに持ち込んだ。
その態度がますます、俺を挑発する。
「おまえ勉強ばっかで本当は運動全然出来ねぇんじゃねぇの!?もしかしてルールも知らないとか?」
頭に血が上って幼稚な事を口走っている事に俺は気付いていなかった。
「いっつも人の事バカにしたようなエライ事、言ってるくせに俺でも出来るバスケが出来ないとかって本当、笑っちゃ…」
言い終わらないうちに美咲が静かに立ち上がった。
見た事もない鋭い目でこっちを見ている。
美咲に睨まれて、一気に勢いを奪われた俺は思わず固まってしまった。
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