ソレデモワタシハアナタヲアイス
「なんでか知らないけどマネージャーとかもあるし。あとバスケ部は毎日」
勢いよく何口かを口に運んで、美咲は空人を睨んだ。
「だから俺のせいかよって！？」
逃げ場を失った空人がとうとう開き直った。
「俺はただ試合に出ろって言っただけであんなめちゃくちゃ勝てとは言ってないし！」
あの球技大会で、美咲と真由子はまったくブランクを感じさせないプレイを披露して、逆転点を入れた後も終了のホイッスルが鳴るまで容赦なくシュートを続けた。
そのおかげで俺達のクラスは見事カレーライスフリーパスを手に入れる条件を満たし、惜しみなく昼食にありついている。
俺達にとっては良い事尽くしのイベントだったけれど、美咲と真由子にとってはそうでもなかったらしい。
毎日のバスケ部からのラブコールは留まる事を知らず、美咲にいたってはその他からも変な誘いがこれでもかというくらい来ていた。
「私が試合に出て負けるワケないでしょ！？それに空人がバカみたいに叫ばなきゃあんなに注目されてないし！」
―――でもあの挑発がなければ絶対試合に出てないよね…―――
俺と真由子の心の声はきっと一緒だった。
< 56 / 435 >
表紙・目次

この作品をシェア

pagetop