ソレデモワタシハアナタヲアイス
「それにしても何で2人共バスケ続けなかったんだよ?」
普通に考えれば誰もが当たり前に持つ疑問を空人は真っ向からぶつけた。
「…別に…」
美咲がいつもの無表情に戻った。
沈黙が生まれる。
「美咲、さげてくるよ。真由子のも」
俺はやっと完食した美咲と真由子のプレートを重ねて持った。
「あ、俺も行くし」
上手く誘いに乗った空人が立ち上がった。
美咲と真由子は有難うと強張らせていた顔を緩めた。
「ずいぶん美咲に突っ掛かるね?」
2人から離れたのを見計らって投げ掛けた問いに空人は不思議そうな顔をした。
「そうか?どっちかっていうと美咲が突っ掛かって来てると思うけど?」
まあ、それも一理あるなと納得してみる。
「なんか気に障るんだよ、アイツ。いちいちムカつく事言って来るし」
すぐ傍に美咲が居ないのを良い事に、空人は平気な顔で言ってみせた。
「ふーん、で?」
「で?」
俺の再度の質問に空人は意味を見出せていない様子だった。
「ま、いいや」
頭にクエスチョンマークを浮かべた空人を放っておいて、俺はプレートを返却口に置いた。
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