ソレデモワタシハアナタヲアイス

知りたい事

「美咲ってどんなヤツ？」
「あんなヤツ」
「…」
俺の質問に、隆太は見ていたサッカー雑誌から顔を上げずに即答した。
日曜日にも関わらず久しぶりに２人揃って部活が休みになった俺達は、時間を持て余して隆太の部屋でつくろいでいた。
「俺は最近の美咲が分からんよ」
隆太から適切な答えが得られない事を察して、俺も読んでいたスポーツ雑誌に目を戻した。
「美咲の何を知りたいの？」
視界の隅で雑誌から顔を上げた隆太がニヤついているのが見えた。
「何だよ？別に変な意味じゃねぇし…」
どちらかといえば隆太は向こうサイドの人間だ。
心理戦で負けるのは目に見えている。
俺は読んでも頭に入らないと分かっていながら、雑誌に並べられた文字を目で追った。