ソレデモワタシハアナタヲアイス
「待てって。1人で見て回ったってつまんないだろ?」
俺は早歩きになった美咲を追った。
「私は1人だって平気だし」
正面を向いたまま美咲は歩く速さを緩めない。
とはいえ、女の早歩きに男の俺が負けるはずはない。
俺は目の前を逃げるように歩く美咲に腕を伸ばした。
「俺がつまんないの。だから一緒に回るっつってんだろ?」
急に腕を掴まれた美咲が、足を止めて振り返った。
「あ、そう。勝手にすれば?」
「勝手にするし」
腕を放した美咲は、元のゆっくりしたスピードでまた歩き出した。
< 67 / 435 >

この作品をシェア

pagetop