ソレデモワタシハアナタヲアイス
「お、はよう、真由子」
急にドアを開けられたせいか美咲はなんだが驚いた表情をしている。
「遅いよぉ~。休みかと思っちゃった」
抱き付いて来た真由子の背中をポンポンとしながら、美咲はごめんねと言った。
「おはよう。遅かったね」
教室に入って来た美咲に隆太はいつも通りの顔を向けた。
「おはよう。ちょっとね」
美咲はいつも通りの美咲に見えた。
「お、おはよう」
とりあえず何も言わないのは逆におかしいと考えて、俺は覚悟を決めて美咲に声をかけた。
「おはよう」
美咲からは普通の挨拶が返って来た。
けれど、いつものように美咲の視線は返って来なかった。
俺の頭は一瞬にして真っ白になった。
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