【短編集】エーテルの底で
その絵の中には、確かにあたしがいた。
裸体のあたしがいたのだ。
暖かく優しいタッチで描かれたあたしの身体。
化け物だったあたしの身体が、聖なる領域のように輝いている。
火傷の傷跡が何より、眩しかった。
ティアラに散りばめられた宝石みたいに。
直視できないくらいに美しかったのだ。
化け物が、そこにはいなかった。
絵のタイトル
『女神の傷痕』
作者──多摩 康介……
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