甘い香り
しばらくして、落ち着いたお兄ちゃんを
ソファに寝かせ、
あたしは鈴華さんを呼び出して
ダイニングへ行った。

「…お茶、飲みますか?」

「ええ…。」

鈴華さんはダイニングテーブルにつく。
その顔は動揺しきっている。
無理もない。
あたしは沸かしておいたお湯を
カップに注ぎ、ティーバッグを
その中へ放り込んだ。
段々色がついてきて、
紅茶が出来上がる。
この紅茶は叔父がくれたのだが
殆どあたししか飲まないので
たくさん余っている。
あたしは鈴華さんに
できたての紅茶を差し出した。

「…ありがとう。」

あたしは鈴華さんの向かいへ
腰掛けた。
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