甘い香り
と、玄関のチャイムが鳴った。

叔父さんは手が離せないようで
出て行く様子もない。

あたしはゆっくり立ち上がった。

玄関のドアを開けると
そこには高岡くんが居た。

「…久しぶり。
その、何て言っていいか解らないけど…」

高岡くんは言葉を詰まらせた。

「…上がって。
お兄ちゃんに会いに来たんでしょう?」

「あぁ。」

高岡くんは、小さく頷いて
お邪魔します、と言ってから上がった。
< 162 / 170 >

この作品をシェア

pagetop