甘い香り
ふと、高岡くんが口を開いた。

「あのさ、藤村。」

「ん?」

「俺、前にお前の兄さんから
預かってたものがあって。
本当は渡したくなかった。
だって自分が死んだら渡してくれ、
なんて言われて、そんなこと
誰にもいえないから黙ってて
それで中條とのことがあって
俺ら話さなくなっちゃっただろ。」

「…うん。」

「受け取ってくれるか?」

「うん。」

あたしは、高岡くんから
一通の手紙を受け取った。
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