短編小説の集い。
夏のある日──子供達は無邪気に遊戯でたわむれ、楽しそうに笑い合っていました。
その光景を遠目で眺める一人の少女がいました。
少女はふたつ並んだブランコの片方に寂しげに座り、小さく前後にブランコを揺らしていました。
友達とたわむれる子供達が羨ましく、本当は仲間に入れて欲しかったけど、言い出す勇気がありませんでした。
キイ……キイ……
古びた鉄と木が軋み、静かに鳴る。
キイ……キイ……
次第にその音は大きくなり、少女の耳ではっきりと聞き取れました。
少女が揺らしているブランコではない場所から、ブランコが揺れる音が聞こえてきます。