僕が出来るまで。

｢なぁー如月。今日遊びいってもいい？｣



と、聞くのは伊月 卓(ｲﾂｷ ｽｸﾞﾙ)。




もちろん仮名である。




｢ん…ああ、ごめん。今日は俺スイミングなんだわ。｣




僕はこの時、塾にスイミング、ピアノ、野球と大量の習い事をさせられていて友達と遊べる日は限られていた。





ちなみに泳ぎの方は幼い頃、肺炎だったせいか肺活量が少ない上に長い入院生活で幼い頃に培われるはずの基本的な筋力の少なさからかあまり上手い方ではなかった。





まぁ《上手く無い》…というよりは《速く無い》…という方が正しいが。




まぁそんなこんなで小学生にしては多忙な毎日を送っていた。





そんなある日。




給食を取りに並ぶ際、僕の耳に小さな…とても小さな声が聞こえてきた。





｢見て…如月がここ通ったわよ！｣




｢キャーヤダァ。回り道しよーよー！｣





僕の耳に小さく聞こえてきたのは女子の陰口。







…そう。


僕はこの日から…いじめられていたのだった。