不器用なカノジョ。
え…?!
ウソ、だろ…
「俺、ここで打って千尋にアピールさせてもらうぞ」
「え?!ちょっと待てよ!
その前にアイツ、どこにいんだよ!?」
「知るか。
自分で見つけろ。
…よし、じゃあ行ってくる」
投球練習が終わったらしく、健は打席に向かう。
俺はグルッとグラウンドを囲む観客に目を走らせる。
でもやっぱりひろはいない。
ここにいれば絶対に気づく。
俺にはその自信がある。
いや…ちょっと待てよ。
ここにいれば俺は気づくがでも、気づけないってことは、ここにはいない…
グラウンドから校舎のほうに目を向けた。
「……あ」
そして発見した。
最上階のとある窓…きっとあれは図書室の窓だ。
そこからグラウンドを見下ろすひろの姿を。