不器用なカノジョ。
1球目
…しまった!
汗で本当に手が滑ってしまった。
そのせいでボールが高めに浮く。
ヤバイ…
【カキーン】
案の定、先輩はバットを振る。
ボールは弧を描き、横にそれていった。
「ファール!」
あっぶねぇ…
バクバクとうるさい心臓に手を当てて深く呼吸を繰り返す。
大丈夫。
いける。いける。
つーか行く!
そう自分に言い聞かせ、足場を固める。
2球目
「…ボール!」
さすが、先輩。
今のコース、結構際どい。
内角低めのボール球。
あの球を見極められると正直、結構イタイ。
1ストライク1ボール
3球目
「…ボール!」
今度は俺のコントロールミス。
しっかりしろ。
打たれたって健や純たちが守ってくれるんだから。