不器用なカノジョ。





「俊輔はいつからひろちゃんのことが好きなワケ?」


「うーん…ガキん頃から。

覚えてねーや、そんな昔の話」


事実、気がついたときにはいつだってひろのことばかり考えてる俺がいて。

いつだってひろを目で追っている自分がいた。



「じゃあ、どこに惹かれたワケ?やっぱ容姿?」


ニッと笑う慎太郎の肩に強烈なパンチをくらわせる。



「…ったあー!

何すんだよ?!俺、暴力反対派なんですけどっ!」


「うっせー!

お前が失礼なこと言うからだろーが!」


ひろに惹かれた理由が容姿、ってバカにしてんのか、って話だ。



「俺はなあ、ひろの男以上に強いところとか

素直じゃないところとか、冷たいところとか…


…まーとにかく!ひろのすべてに惹かれたんだよ!」


惹かれた箇所なんて挙げればキリがないんだからな。



「へー、そういうこと」


「はあ?どういうことだよ?」


「要するに、俊輔はMってことだな」


ウンウンと頷く慎太郎。

くっそ!

俺が英語話す国の人だったらFから始まる単語、叫ぶところだぞ、コラァ!




「誰がMじゃボケぇ!

名前のイニシャル通り、俺はどっちかっていうとSだよっ!!」


この言葉を聞いて

慎太郎が大爆笑したことはもはや、言うまでもないだろう。






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