不器用なカノジョ。
「ここがひろちゃんの大好きな場所?」
「そ。ひろは教室にいなかったらたいていここにいる」
『図書室』の文字を指さして俺は躊躇いもなくドアを開けた。
相変わらず、中からは楽しそうな声が聞こえてくる。
「ひーろっ」
いつも席。
いつもの場所。
いつものひろ。
いつもの…いや、誰だ?このコ。
「千尋、誰?知り合い?」
「…知らない」
「ひろっ!!」
またそうやって冷たいこと言うんだから、まったく。
「久しぶりー!千尋ちゃん」
「あ、慎太郎くん、久しぶり」
ニコッとひろが笑う。
おい、ひろ。
俺と慎太郎の扱いの差はいったいなんなんだよ。
「もしかして…古川俊輔くんと星慎太郎くん?」