不器用なカノジョ。
「あれ?俺らのこと知ってんの?」
ひろの向かいに座っている女の子のキョトン顔に尋ねる。
「知ってるも何も2人は有名人だからね。
多分、学年のほとんどの子は知ってるよ。
とくに、女の子ならね。
で、千尋の知り合いなの?」
「慎太郎くんは知ってるけどその左の…」
「俺、ひろの幼なじみっ!」
ひろの言葉を遮って俺は言う。
「千尋ぉー!水臭いなあ。
こんな有名人と知り合いなら教えてよねー」
「教える価値もないよ、俊輔のことなんて」
「ひろ…言い過ぎ」
半ベソで俺はひろを睨む。
だけど当の本人はそんなことどってことない、って顔で俺を見ようともしない。
2人きりのときはもうちょっと素直なんだけどなあ、
と心の中で呟く。
「で、キミは?」
慎太郎のその言葉でそう言えばまだ名前聞いてなかった、と思い出す。
「あ、あたしは真嶋 響(マジマ ヒビキ)
千尋とおんなじクラスなの。
よろしくね」