不器用なカノジョ。
「響、ちゃん」
「ん?そーだよ?」
慎太郎はしばらく響ちゃんの顔を見つめると
「いい、名前だね」
そう言ってふっと笑った。
…なんだ、コイツ。
気持ち悪い。
そういうこと言うタイプじゃねーじゃん。
「そ?ありがと」
響ちゃんはそう言って笑顔を浮かべる。
「あ、そうだ、ひろ」
俺は大事なことを思い出す。
「何?」
「喫茶MIX…なんで来てくれないんだよ?」
「喫茶、MIX?
何そのネーミングセンスのない喫茶店は。」
「お、おい、千尋ちゃん!
それ、俺が考えたんだけど。」
「…あ、ごめん」
露骨に沈んだ顔をする慎太郎と苦笑いのひろ。
それを見ている響ちゃん。
そう言えば響ちゃんとひろ…いったい、どういう関係なんだろう。
この間までひろは友達がいない、そうはっきり言っていた。
なのに今は響ちゃんと一緒にいる。
もしかしたらひろは信じることのできる友達を…見つけたのかもしれない。