不器用なカノジョ。





「ごちそうさま!

じゃあ頑張ってね、ウエイトレスさん!」


響ちゃんがそう言って笑う。



「あ、そうだ、ひろ」


先に行っていたひろを呼びとめる。



「明日、俺、フリーなんだ。

だから…一緒に回らないか?」


「何それ。

デートの誘い?」


「え…うん、まあ一応、そのつもり」


ひろは表情を変えないまま、響ちゃんの耳元で何かを囁く。

しばらくそうしていたあと、


「慎太郎くんも響も一緒ならいいよ」


そう、言った。


「マジで?」


「マジで」


「ホントにいいの?」


「何?イヤなの?」


「え…!?いや、そうじゃなくて!

俺、嬉しくて!」


飛び上がらんばかりの俺を見てひろは呆れたように眉を下げていた。


でも、仕方ないだろ。

2人きり、ってワケにはいかなかったけど。

だけど、ひろと学祭デートできるんだ。


嬉しくないワケがないっ!






< 143 / 235 >

この作品をシェア

pagetop