不器用なカノジョ。
「お疲れー」
「おつー」
「お疲れちゃーん」
そんなあいさつが飛び交う教室。
みんなカバンを持って帰って行く。
「じゃ、俺も帰ろーっと」
さすがに学祭の間、2日間は部活も休みだ。
なので珍しく真っ直ぐ家に帰れる。
それなのに…
「ちょっといいか、俊輔」
「はあ?なんだよ、慎太郎…」
慎太郎に呼び止められる。
「じゃあ俺ら先帰るなー」
純と健が教室を出ていく。
あー俺も帰りたい!
「そんな顔すんなや。
ちょっとだけ付き合えよ」
「…ちょっとだけだからな」
ったくなんたる不運だ。
可愛い女の子に誘われるならまだしも、こんな汗臭いような男に放課後の時間を奪われるとは。