不器用なカノジョ。
「なあ、俊輔。
お前さ、どんだけひろちゃんに冷たくあしらわれても絶対に食い下がらないじゃん?
なんで?」
「はあ?なんだよ、その質問」
「いいから答えろよ」
場所は教室から音楽室に変わっていた。
なぜ音楽室になったのかは分からない。
ただ慎太郎に着いてきたその場所が音楽室だったんだ。
「慎太郎、その質問、意味あんの?」
「ある。つーかあるから聞いたんだろーが」
「なら答えるけどさ、俺、フツーのことしか言えねーよ?」
「いいんだよ、フツーのことで」
意味がわからん、と思いながら仕方なく慎太郎の質問に答える。
「そんなのひろがスキだからに決まってんだろ」
「…なるほど」
な、なるほど、って!
「お前、なんだよ!その顔!
期待外れの答えだったな…って顔に書いてあんぞ!!」
「え…いや、そういうことじゃ…」
「最初に言っただろ、フツーのことしか言えない、って」
「いや、まあそうなんだけど。
でもなんか俊輔ならおもしろい答えが…」
「なんでもかんでもおもしろさ求めんじゃねえ!」
とんだ時間の無駄遣いだった。
よし、俺は決めたぞ。
「慎太郎、そんな質問だけなら俺は帰る!」