不器用なカノジョ。





「い、いや、ちょっと待てって!」


カバンを引っつかむと慎太郎の手が俺のカバンを握った。


「離せ」


「ヤだ」


「離せ」


「無理!」


なんなんだよ、マジで。

言いたいことあるならはっきり言えってーの。



「分かった。

聞いてやる。


その代わり、さっきみたいな質問したら俺は即効帰るからな。」


「ああ、分かったよ」


はあ、と慎太郎が溜め息をつく。

待て待て。

どちらかと言えば溜め息つきたいのはこっちのほうだぞ。



「俺、美帆が好きなんだ」


「…やっぱり帰る」


何改めて言ってんだよ。

好きじゃなかったら付き合ってねーだろーが。



「待てって!最後まで聞いてくれよ」


あまりにも慎太郎の目が真剣で。

仕方なく腰を下ろす。



「美帆のことが好きなはずなのに。

なのに俺…気になるんだ。



……響ちゃんのことが」








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