不器用なカノジョ。
「…今、なんて?」
ひろの目がギョロりと動いて響ちゃんを捕える。
「だから、2人は運命の糸で繋がってるんだね、って。」
聞こえなかったの?と言わんばかりの響ちゃんの顔。
「響、それ、マジで言ってる?」
「もちろん、マジだよ」
「なら、それ、今すぐ撤回しなさい」
「え?なんで?」
あーあ、ひろ、怖い顔してるよ。
だいたいさ、俺にはひろが何言いたいのかよーく分かってる。
だけどさ、そんな怖い顔する必要なくね?
「だって私、こんなヤツと運命の糸で繋がれてないもの。」
やっぱりそう言うよね。
分かってた。分かってたよ、ひろ。
「私と俊輔は、たまたま、偶然が重なりあって、重なり合って、小学校まで同じクラスで。
それで、また偶然が起って、再会した。
運命の糸、なんてものじゃない。
ただの偶然よ、偶然」
「それだけ偶然が重なったら運命だと思うけどな、あたしは」
おー!
なかなか言うね、響ちゃん。
だけどさ、それって俺からしたら怖いもの知らずってことになるよ。
ひろ、ああ見えて結構負けず嫌いだからね。