不器用なカノジョ。
「あー…タルかった。
やっぱサボれば良かったなー」
「何言ってんだ、慎太郎。
入学式サボるバカかどこにいんだ」
「はーい!ここにいまーす」
頭を一発はたいてやろうと思ったが、やめておいた。
なぜなら…
「よぉ!ひろ!」
ひろが目の前にいたから。
「……………」
「おい、無視すんなよー」
でもひろは俺をキツく睨むだけ。
「え?ひろちゃん?
うわー!近くで見れば見れるほど綺麗だな!」
……あっ!慎太郎…やべぇよ、お前。
多分…やらかした。
「あの、今…なんておっしゃいました?」
ひろが足を止め、慎太郎と向かい会う。
「え?ひろちゃん、綺麗だね、って」
あーあー…
ダメだよ、慎太郎。
「私の名前、ひろじゃありません。
千尋、ですから。
あ、それと古川くん。
気安く声をかけるのはやめてください」