不器用なカノジョ。
「……なぁ、俊輔。
俺の想像と…全然違うんだけど」
放心状態の慎太郎。
それも仕方がないだろう。
だってひろが睨むと最高に綺麗だけど、最高に怖いんだから。
「おめぇーがいけねぇーんだよ。
ひろのこと、ひろ、って呼ぶから」
「はぁ?!意味わかんねぇーよ!
第一、俊輔がひろ、って呼んでんじゃんか!」
「俺は特別なの!
ひろ、って呼んでいいのは俺だけ。
慎太郎は高岡さん、か千尋ちゃん、だな」
へっと得意げに笑う俺。
「何が特別だよ。
古川くん、って言われてたじゃねぇーか。
それに気安く声かけるな、って」
慎太郎はクククッと笑っている。
「うっせーよ!
ひろはすげぇー照れ屋なの!」
「はぁー?どーだかなー
単純にお前、嫌われてんじゃねぇーの?」
「…てめぇ…それ以上言ったら…」
「ははー
冗談だ、冗談」
俺たちはあーだこーだ騒ぎながら教室に戻ったのだった。