不器用なカノジョ。




それから明海の手術は無事に終わった。

次の日には意識もはっきりとしていた。


でも、その日からお父さんの姿を見ることはなかった。



『お母さん。

ねえ、どういうこと?


どうして、お父さんいなくなったの?』


お父さんが姿を見せなくなって3日後。

私は思い切ってお母さんに尋ねた。



『…ごめんね、千尋。

お母さんが、お母さんが…悪いの…っ…』


そう言ったお母さんは嗚咽を漏らし、手で顔を覆う。

その姿を見て、正直、イラついた。


私が聞きたいのはそんな言葉じゃない。

ただ、知りたかった。


どうして、お父さんがいなくなったのか。

そして、どうして、A型のお父さんとお母さんからAB型の明海が生まれたのか。



『お母さん。泣いてちゃ分からないよ。』


多分、厳しい言葉だったと思う。

でも、お母さんが泣いたところで私の知りたいことは何1つ分からないままだ。


『私、まだ中学生だけど。

でも、子どもじゃないよ。


だから、隠さないで。

家族なんだから話してよ。

ちゃんと、全部話してよ』









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