不器用なカノジョ。




それからお母さんが語った真実は、私に大きなショックを与えた。


お母さんが高校の同窓会に出席したとき、元カレと再会した。

お酒がはいっていたせいか、成り行きで元カレとホテルへ行った。


たった1回のその行為によってできたのが明海。


要するに、私と明海は父親が違う異父姉妹なのだ。



『…なんでっ?!

なんでお父さんも、私もいるのに…っ…なんで違う男の人と…っ…』


そこまで言って声が出なくなった。

涙が邪魔をしたのだ。


でも、ショックだった。

信じられなかった。


まるでドラマのような異次元だと思っていた話が今、現実に目の前で起っていて。

私はその渦中にいて。



『ごめんね』


そうお母さんは言い続けていて。

お父さんはどこかへ消えてしまって。

明海は、このことを知らずに生きてきて。


…いったい、私にどうしろというのだろう。


そのとき、私は思い出していた。

明海が必死に闘っていた手術室の外で神様に願ったあの言葉。


『どんな困難を私に与えてもいい。

だから明海を助けて』


それを思い出した時、そういうことかと思った。

これは明海が助かった代償なのだ。


そう気がついたとき、私は心に決めた。



『私が何もかも元通りにしてみせる』









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