不器用なカノジョ。
次の日
顧問の都合により練習が急きょ、中止になった。
でも普段練習ばかりしてる俺はオフの日に何をすればいいのか分からなくて。
だから図書室でぼーっとグラウンドを眺めていた。
「あれ?珍しい人がいる」
突然、ドアのほうでそんな声がして振り向くと
「久しぶり、センセ」
そこにはキョンちゃんがいた。
「今日、部活は?」
「休み」
「そか」
キョンちゃんはそう言いながら俺の前に座った。
「こんなとこで何してんの?
休みなら早く帰ればいいのに。」
「帰ったって何すればいいか分かんないし。
そんなんだったらここでひろのこと見てるほうがいいかなーって思って」
そう言いながら俺はまた視線をグラウンドに戻す。
今日は柔道部は外でトレーニングらしく、さっきからグラウンドを走っている。
「そんなに千尋のことスキなんだ?」
「それ、確認する意味ある?」
キョンちゃんなら俺がどれだけひろを想ってるか知ってるでしょ。
「まあ、ないか。
おちょくってあげようかと思ったけど、今日俊輔元気ないみたいだからやめとく」
キョンちゃんはそう言ってニッと笑った。