不器用なカノジョ。
「…3年ぶりだっていうのに手厚い歓迎をどうもありがとう」
俺は思いっきり打ちつけた腰をさすりながら苦笑いで立ち上がる。
「…やっぱり」
ひろがボソッと呟く。
「やっぱり、じゃないって!
俺だって分かってたらなら投げるなよ!」
「あんただ、って分かってたから投げたの。
それに私に背後から話しかけるほうが悪い」
ひろはそう言って冷たい視線を俺に向ける。
まったく、ひろは3年経っても変わってないんだから。
そんなふうに呆れながらひろの横に並んだ。
では、さっき起こった出来事を分かりやすく説明しよう。
俺は後ろからひろに声をかけた。
ついでに肩に手を置いた。
そしてひろは肩に置かれた手を持ち、
俺を背負い投げ。
あ、言うの忘れてたけどひろって女の子なんだよね。
高1の女の子が高1の俺を背負い投げ。
まあ普通じゃありえないけど、
普通じゃないから、ひろは。
小1からずーっと柔道やって、
何度も優勝してるような最強女子。
ついでに言えば滅多にないような容姿を持ち合わせ、
信じられないくらい頭がいい。
ま、漫画の中にいそうな女の子なんだよね、ひろって。