不器用なカノジョ。
それからひろの目は点になって。
「ウソ、でしょ?」
「ウソじゃないよ」
「え…いや…そんな…
あ、ごめんね、慎太郎くん」
そう言って慌てて教室を出て行った。
「ひろちゃん、可愛いな」
「え?」
「だってさ、あんなに友達のために一生懸命になって。
教室に乗り込んでくるなんて、めちゃくちゃ可愛いじゃん」
「今頃ひろの可愛さに気付いたって、アイツのことは譲らねーぞ」
「譲るも何もお前のもんじゃねーし」
クククッと笑う慎太郎。
ウ、ウザイ…
「ま、安心しろ。
俺、気の強い女の子あんまり得意じゃないからさ。
断然、響ちゃん派だし」
「分かった分かった。
つーかいつの間にデートなんて誘ってんだよ?」
「朝会ったから今日空いてる?って言ってみた。
ま、そういうことだからよろしく頼むな、俊輔」
「はあ?何が?」
「いや、そのデート俺と響ちゃん、それにひろちゃんとお前のWデートだから」
シラッと言ってのける慎太郎。
その後
「はあああぁぁああぁ?!」
という俺の叫び声が教室中に木霊したことは言うまでもないだろう。