不器用なカノジョ。
と、俺たちは手を結ぶことになったのだが。
実際…俺たちの力はまったく必要ではなかった。
「ねえ、ひろ」
「ん?」
「帰らない?」
「え?」
驚いたようにただでさえ大きい目をもっと大きくするひろ。
「多分、あの2人、気づかないよ。
俺らが帰ったって。」
「…確かに」
ひろが納得するくらい、2人は自分たちの世界に入り込んでいて。
もう、ひろと俺のことなんて多分、頭にないだろう。
「俺、疲れたしさ。
帰ろうよ。」
「そうだね」
慎太郎と響ちゃんにそれぞれ一応メールを送って俺たちはショッピングモールを出た。
時刻は8時半。
たいぶ、冷え込みが厳しく、店を出た瞬間。
2人声をそろえて「寒っ」と言った。
「もうすぐ…降りそうだね」
「え?マジ?」
「あ、そっか。
俊輔、こっちでの冬は初めてか。
もうすぐだよ、多分。
壮絶だから覚悟、しといたほうがいいよ」
「でも俺、雪好きだから大丈夫」
「多分…キライになる。
私がそうだったから」
そんなに雪は厄介なのか。
にしてももう雪が降る季節…なんだかしんみりした気分になるな。