不器用なカノジョ。
「みんな、言ってた。
あの高岡が、って。
あの千尋が負けた、って。
そう言う言葉聞いて余計、落ち込んだんだろうな。
ずっと外で俯いてた」
「…そんな」
ひろ、いつも練習頑張ってたのに。
それが…1回戦負けって。
「声、かけようかと思ったけどできなかった。
俺が今何を言っても千尋は笑ってくれない、って感じてさ。
あんな千尋見たの、初めてだよ…」
「ひろ…大丈夫かな」
「心配?」
「そりゃあ心配だよ!
先生は心配じゃないんすか?」
「心配に決まってんだろ。
だから、俊輔」
キョンちゃんが真っ直ぐに俺を見つめる。
「千尋を救ってやってほしい」