不器用なカノジョ。





投げられた瞬間。

それは本当に一瞬だったけど。


でも私の中でスローモーションのように視界が反転していって。

勝てる相手だった。


そのはずだったのに。


試合が終わった後、

顔を上げることができなかった。


だってみんなが私を哀れの目で見ているのが分かったから。


優勝候補だと言われた私が、

一回戦で敗退。


さぞかしみんな、驚いただろう。

でも、1番驚いたのは私だ。


あんな結果、予想もしてなかった。


私…油断してたのかな。

余裕で勝てる、そう思って油断してたのかな。


だとしたら、私は大バカ者だ。

ちょっと強いからって。

俊輔に頑張れ、って言われたからって。

優勝できる、そう言われたからって。


私は何を調子に乗っていたのだろう。









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