不器用なカノジョ。
「え?それで無傷だったの?」
「いやあ…正確には手に擦り傷と軽い打撲ね。
まあでもほぼ、無傷だった」
ウソでしょ…とひろが呟く。
「医者にもキミは運がいいね、って言われた。」
もし頭をかばってなかったら。
相当危ないことになっていたかもしれない、そうも言われた。
そのとき、心の底から両親に感謝した。
反射神経のいい子どもに育ててくれて、ありがとう。
「…ねえ、俊輔」
「ん?」
ひろの顔を見る。
でもひろは何も言わない。
なんで黙ってんだ?
まさか
『名前読んでみただけー』
みたいなヤツか?
「…教えてほしいの」
「え?」
「俊輔はどうしていつも私に構うの?
どうして、私にそんなに優しくしてくれるの?」