不器用なカノジョ。
「あのさ、隣歩くのやめてくれない?」
「え…無理」
「無理じゃないでしょ」
ひろのきつく冷たい視線が突き刺さる。
ま、でも気にしないよね。
「そうカリカリすんなよー、ひろ~」
そう言うとさっきよりも鋭い視線が俺に突き刺さった。
「その呼び方、やめてくれない?」
「どうして?」
「…慣れ慣れしい」
おいおい、ひろ。
俺とひろの間に馴れ馴れしいなんて言葉、あるのかい?
「いいだろ、別に。
だいたい俺とひろの仲は馴れ馴れしい仲じゃないか!」
「馴れ馴れしい仲?!
そんな言葉、ないでしょ。
相変わらずバカね、俊輔(シュンスケ)は」
「あれ?バカにするわりには俺と同じ制服着てるじゃん」
そう言うと
「…………いってぇー!」
鞄で思い切り殴られた。