不器用なカノジョ。
「なんで?なんでそう思うの?」
ひろが俺を見つめる。
「だって、違うだろ。」
「何が違うの?」
「うまく言えないけど。
だけど、違う」
「だから、何が?」
「なんかが、だよ」
はぁ…と、ひろが溜め息をついた。
だけど、うまく言葉が出てこないんだ。
なんて言えばひろにこの俺の感情が伝わるのか俺が1番知りたい。
「小学生の頃からそういう曖昧なところ、変わんないのね。
少しは成長してるかと思ったけど」
「成長してるよ、俺だって。
だって見てみろよ。
あの頃はほとんど同じ身長だったけど、
今じゃ俺のほうがこんなに背が高い」
ひろと俺の身長差は多分、10センチ以上はある。
「俊輔、バカ?
成長、ってそういう意味じゃないんだけど」
呆れ顔のひろ。
だけど突然ぷっと噴出した。
「もー…っ!
なんで全然変わってないのよ!
なんか調子狂うでしょ!」
怒ってんのか笑ってんのかよく分かんなかったけど。
でも顔は笑顔で。
あ、やっと俺の前で笑ってくれた。
そんなことに小さな感動を覚えた俺だった。