不器用なカノジョ。
「やっぱりね。
そうだろうと思ったの」
「でさ、ひろ。
この間の続きだけど」
「この間…?」
ひろはなんの話だか思い出せないようだ。
「ひろ、言っただろ。
教室は息苦しい、って。
あれ、どういう意味だよ?」
チラッと俺を見て、それでも食べる動きをやめないひろ。
答えないつもりだろうか。
「…どうせ、俊輔に言ったって分かんないわよ」
口に含んだものを飲み込んだひろはそれだけ言ってまた食事再開。
「そんなの分かんないだろ。
なんで俺には分かんない、って決めつけるんだよ」
はあ…と、溜め息をついたひろが箸を置いた。
「決めつけて何が悪いの?
私と、俊輔は別の人間なのよ?
私の気持ちが俊輔に分かるだなんて、到底思えない。
その考え方って間違ってる?」
なんだろう、この感じ。
今、俺…すげぇー…ひろに拒否られてる感じがする。
もうこれ以上私の中に入って来ないで。
そんな意思が言葉から伝わってくる。