不器用なカノジョ。
「だから俊輔には分かんないって」
「分かんなくても、話くらい聞けるだろ」
「そもそも、俊輔と私とじゃ根本的なところが違うのよ」
「根本的なところ…?」
どこだよ、それ。
俺とひろに違いがあるとすれば。
それは、男と女、ってことだけだろ。
「俊輔は能天気で、アホだけど、努力なんてしなくたって自然に人が集まってきて、その人たちに愛されるタイプ。
…でも、私はそうじゃない。」
能天気でアホ、っていうのは間違いなく悪口だけど。
でもひろが俺のことをそんな風に評価してくれていたなんて思わなかった。
「いや、ひろだって自然に人が集まって来るだろ。
俺、いつも思ってた。
ひろって磁石みたいだな、って」
「そんなの…買い被りすぎよ」
「そんなことない。
現にひろの周りにはいつだって人がいっぱいいる」
廊下でたまたま遠くにひろをの姿を確認すると、ひろはいつも人の中心で。
ひろが1人でいるときなんて、ないと思ってた。
だからここでこうして昼飯を食べてるのを見たとき、俺は驚いたんだ。
「…違うの、そうじゃないの」
そう言ったひろの顔は歪んで。
切なげで、胸が締め付けられた。