不器用なカノジョ。
「で、最近千尋とどうなんだよ?」
練習中。
健が声を小さくして聞いてくる。
ちなみ純は内野手なので別メニュー。
「別に。
特に変化なし。
そっちは?」
「俺も。
だけどこの間、キョンちゃんってヤツと一緒にいるとこ見た」
「え?マジ?」
そこで一時中断。
俺の番が回ってきたのだ。
「お願いします!」
と、叫ぶとボールが飛んでくる。
高く伸びて行くボールをキャッチして、
数十メートル先の相手にノーバウンドでボールを返す。
うん、今日も肩の調子は最高だ。
それから健の番になって。
アイツもうまい具合にボール処理を済ます。
「で、どんな感じだった?」
「千尋の話?」
「そう」
「仲良さそうな感じだった」
健のその言葉を聞いて落ち込む俺。
そして
「「はあ…」」
奇跡に健と溜め息のタイミングがかぶった。