不器用なカノジョ。
俺は何も言い返す言葉が見つからなかった。
ひろのあの言葉にそんな意味が込められていたなんて全然、気付かなかった。
「あんたのせいで…っ!
せっかくキョンちゃんと仲良くなれたのに!
その繋がり…切れちゃったじゃない!
私は…俊輔のそういうところ、大ッキライ!!!」
小さな手提げを掴んでひろは図書室を出て行く。
ものすごい音をたてて扉が閉まり、
静寂が図書室に戻る。
俺の頭の中にはひろの悲痛に歪む顔と、
『大ッキライ』という声が木霊する。
俺…最低だ。
最低な男だ…
何にも知らないくせに、
ペラペラ喋って。
ひろのこと、怒らせて。
先生のこと、傷つけて。
しまいには自分まで傷ついて。
こんなに空回りすることって…あるんだな。