紅い涙
…もしかしてこの人、何かを知っているのかもしれない。
まさか、この人が星歌を!?
そうかもしれない。
だって、事件の事を知りすぎている…!!

この人が…星歌を…!!


一方的な思い込みから、怒りが溢れてくる。
何の根拠もないという事は、今の私にはとても考えられないのだ。

私の頭は冷静さを保てず、パニックに陥っていた。


「どうしたの?怖い顔して」


そう言って、佳代が私の顔を除きこんだ。


「べ、別にっ…!で、何?」


大袈裟に顔を背け、強気な態度で佳代に問う。
佳代は不思議そうに小首を傾げ、


「話があるの。放課後、旧校舎の廊下に来てくれない?」


と、耳打ちをした。


…話?
まさか、星歌の…!?
事件を調べている私の、口封じをするつもり!?

…臨むところよ。


「…分かった」


横目で佳代を睨みながら、短い返事を返した。


「ちょっとそこ!静かにしなさい!!」


担任が私達に気付いたようで、眉間にシワを寄せながら注意してきた。
私は先生の忠告に素直に従い、何の文字も書かれていない黒板の文字を、ただ見つめていた…。
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