紅い涙
佳代の言葉で、頭を鈍器で叩かれたかのような、衝撃を感じた。


…妄…想………?
そういえば、この人が星歌を殺したなんて根拠、どこにあった?
もしかして私は、ただの思い込みで、暴走してしまっただけなのでは?


「佳代………」


ポカンと口を開け、叩かれた方の頬を抑える。
そんな私に、佳代は優しく微笑みかけた。


「もう一度言うわ。私は、星歌の殺人事件に、全く関係ない………」


落ち着いた口調で話す佳代の言葉を、一言一言記憶する。


「私が、ここに下咲さんを呼んだのは、ある事を確認したかったからよ」

「…ある事?」


そう問う私に、佳代はポケットから一枚の薄紙を取り出し、目の前に突き出した。
そこには、今朝見たものと同じ言葉。


“ちょうだい…”


「ひぃっ!!!」


思わず、叫び声が出る。
奥歯、指先、両足が、ガタガタと震えてきた。
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