紅い涙
第一章

芸術品への誓い

「うっ…く、ひっく……」


2001年9月11。

都内の住宅街の一軒、羽野宮家が、悲しみの色に染まる。
黒い服や、制服を身に纏い、ハンカチで涙を拭う人達の中で私の親友の羽野宮 星歌だけが、遺影の中で明るく笑っていた。
星歌は昨晩、塾の帰りに何者かに殺害された。
それは酷い殺され方で、刃物で腹部をえぐられ、右腕を切断されていたそうだ。

その右腕は、今だに発見されていない…。


「…酷すぎる」

「え……」


私がボンヤリと遺影を見つめていると、隣で同じクラスの佳代が呟いた。
彼女は私と同じく制服に身を包み、星歌の遺影を見つめている。

佳代は小柄だが、妙に大人っぽく、黒目がちの瞳が印象的で、ミステリアスな雰囲気を放っている。


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