紅い涙
「…それを知った私は、事件について知っている事をすべて、教えようと思ったの。でも………」


佳代は、途中で言葉を止め、さっきまでとまるで違う目で私を睨んだ。
全身が凍り付くかのような、鋭い瞳…。
蛇に睨まれた蛙とは、こういう事を言うのだろう。


「ダメよ!ナイフを見ただけで腰を抜かすような人に、この事件を調べる事は無理!!危険すぎるわ!!!」


言い返す事が出来ない。
佳代の言う通りだから…。


「今すぐ事件に首を突っ込むのを止めなさいっ!!!」


今まで以上に、強気な佳代。


圧倒される…。
身体は私の方が大きいはずなのに、佳代が大きく見える。
確かに私は、ナイフを見ただけで腰が砕けた。
全身に、恐怖が走った。
私はきっと、どう足掻いても今以上の苦しみを受ける事になる。

…でも……。
でも………………。
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