月姫物語
そう言って、女官を連れて、出て行った。










「流石は桜ノ宮様。月姫様に一歩とて譲りはいたしませんわね。」












「わたくしの口の達者ぶりは母上様似とでも?重。」










腕を組むわたくしを、重は楽しそうに見つめる。












「桜ノ宮様は、滅多なことであの見事な詭弁さを表しませぬ。皆様、月姫様のお口は誰に似たのか思っていますでしょうね。」















「月姫様。お部屋で静かに、勉学にお励みくださいましね。」














重もそれだけ言うと、部屋をすぐに出て行った。」
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