月姫物語
「黒曜・・・来ておったのか。」









「はい。ご側室であられる霧子様に、花見に誘われましたゆえ。」









「表をあげよ。」








静かに顔をあげると、楽しそうにほほ笑む帝の姿があった。









「相変わらずの美貌だな、黒曜よ。」










「ふふ。わたくしを御褒め下さっても何も出ませぬよ。」









「そろそろそなたを、宮に受け入れようではないか。」










月姫は、にっこりとほほ笑んだ。








「何度も言わせないでくださいませ。霧子様も含む、30近いご側室がおられるではございませぬか。」
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