月姫物語
『このままでは、この鷹匠も都も物の怪によって、蝕まれることとなる。』











白王様が重々しく口を開いた。









「我が一族の使命は、都を悪しき妖怪から守ること。それ故、私が立ち上がったのです。」











『蘭月。夜を助けるのじゃ。夜とともに在り、我が一族の代わりに彼を守ってやってくれ。』













それまでずっと黙っていた、母の兄上様。白道様が口を開いた。













「わ、わたくしに・・・そのような力はございませぬ。」













『そなたの持つ、常人を卓越する動体視力をはじめとする身体の俊敏さ。そして・・・風の音を聞くことができる、風の耳。』















はっとして、目の前にいる美しい白狐を見つめた。
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