月姫物語
「わたくしは、貴方様の収集品の一つに混ざる気は、少しもございませぬ。」











「収集品、か。」











パチンと扇を鳴らすと、帝は大きな声で笑い始めた。










「相変わらずよのぉ、黒曜。次は、どのようにかわすかと思えば・・・収集品とは。」










クククと、笑いの余韻を残しながら帝は、再び言った。









「次にそなたと出会うときは、見事口説き落としてみせようぞ。」










「なにぶん、わたくしは鈍いようで・・・帝がわたくしを口説いていることすら気づきませんでしょうに。」










「これはまた一本取られた。また逢う日を楽しみにしておるぞ、黒曜。」
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