月姫物語
「桜ノ宮様。」












わたくしの回りに立っていた女官たちが、母上に平伏した。












「この遅くまでそなたは何処へ行っておった。皆に心配をかけたのじゃぞ。」











低く、しかし響きのある声で言った。












わたくしはその場の誰よりも低く、頭を下げた。












「申し訳ございませんでした。・・・母上様。」











「なんじゃ、月子。」












「お話したきことがございます。」
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