恋愛論
紹介も終わり、しばらく和んだところでそろそろと席が変わり始めた。
お酒が入り、みんなが酔って盛り上がる中、ジュースを片手に自然に宗佐さんの隣へ移る。
「宗佐さん、お酒呑まないんですか?」
私は、テーブルに置かれたグラスを見た。
まだ一杯目のお酒に口をつけた形跡はない。
「あぁ、なんか呑む気になれなくて」
「私もです」
「ジュースじゃ酔えないでしょ?(笑)」
「あ、そっか(笑)」
会話に花が咲く。
「ナオちゃんって、本当に18なの?大人っぽいね」
「そんなこと無いですよ。宗佐さんは紳士で素敵ですね」
「そうかな。有難う」
紳士で真面目で、何て言ったって次期社長候補。
未来は安泰。
やっぱりこの人がいい。
と思ったのもつかの間―――
「宗佐さぁん。呑みましょ~よ~♪」
女が割り込んできた。
さすが次期社長候補。
金に群がる敵は多い。
「大人の話しましょ~」
チラッとこっちを睨む女。
『子供はすっこんでろ』
と、言っているようだ。
「じゃ、また…」
「うん、後で…」
【後で…】
私は勝ち誇ったように女に笑いかけ、静かに席を立った。